香港取引所(0388.HK)決算分析と目標株価 米国上場リスクから香港への上場シフトが進む 営業利益率は7割と高水準

取引所およびデータ提供会社

過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出と香港取引所(ホンコン・エクスチェンジズ・アンド・クリアリング)への投資についてコメントします。

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会社概要

香港取引所(Hong Kong Exchanges and Clearing Limited、0388.HK)

ホームページ(SECファイル):リンク先

国:香港

セクター:金融

産業グループ:各種金融

サブ産業グループ:取引所およびデータ提供会社

浮動株調整後株式時価総額:709億ドル(2021年3月末、MSCI)

香港取引所は、香港に本拠を置く、現物やデリバティブ等を取り扱う証券取引所です。

金融セクターの各種金融で第9位の浮動株調整後株式時価総額で、取引所およびデータ提供会社に占める香港取引所の浮動株調整後株式時価総額比率は13%です。

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売上高(セグメント別)の推移

FY2020(2020年1-12月期)の売上高は192億香港ドルと、前年度比+17.7%、過去5年間では年率+7.5%となりました。

セグメント別の売上高は、以下の通りです。

・取引等収益:70億香港ドル、前年度比+24%

・上場収益:19億香港ドル、前年度比+16%

・精算収益:44億香港ドル、前年度比+38%

・保管等収益:13億香港ドル、前年度比+20%

・市場データ収益:10億香港ドル、前年度比+4%

・その他収益:14億香港ドル、前年度比+16%

・純金利収入:22億香港ドル、前年度比▲18%

セグメント別の売上高構成比は、取引等収益が37%、精算収益が23%を占めます。

FY2020のIPO調達額は0.40兆香港ドルと、前年度比+27%となりました。

FY2020の現物市場の1日当たり平均売買代金は1,295億香港ドルと、前年度比+49%となりました。

FY2020のオプションの1日当たり平均枚数は67万枚(前年度比+12%)、先物の1日当たり平均枚数は46万枚(前年同期比▲2%)となりました。

利益の推移

FY2020の営業利益は134億香港ドル(前年度比+19.8%)、営業利益率は70.1%と、前年度の68.8%から改善しました。

FY2020のEPSは9.09香港ドルと、前年度比+21.7%、過去3年間で年率+14.7%となりました。

キャッシュフローの推移

FY2020の営業キャッシュフローは148億香港ドルと、前年度比+46.8%、過去3年間で年率+25.8%となりました。

営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー/売上高)は77.0%と、前年度の61.7%から改善しました。

FY2020のフリーキャッシュフローは134億香港ドルと、前年度比+49.6%、過去3年間で年率+25.9%となりました。

フリーキャッシュフローマージン(フリーキャッシュフロー/売上高)は69.9%と、前年度の55.0%から改善しました。

株主還元(配当、自社株買い)の推移

自社株買いはほぼ実施なしです。

(参考)過去5年間の株主還元利回り(株価は各会計年度末時点)

FY2020の益利回り(PERの逆数)は2.1%、フリーキャッシュフロー利回りは2.5%です。

過去5年間の配当利回りは2〜3%程度です。

(参考)過去5年間の配当性向、総還元性向

過去4年間の配当性向は、利益・キャッシュフローベースともに100%を下回りました。

(参考)過去5年間のDPS(1株当たり配当金)

FY2020のDPSは8.17香港ドルと、前年度比+21.8%、過去3年間で年率+14.8%となりました。

(参考)過去5年間の発行済株式数

ROICの推移

ROIC(Return on Invested Capital、投下資本利益率)とは、企業が事業活動のために投じた資金を使ってどれだけ利益を生み出したか(投資効率)を測る指標となります。

正確な計算方法はないため、ここでは、税引後営業利益/投下資本(=運転資本+有形固定資産(リース含む)+無形固定資産+在庫+のれん)として計算しています。

少なくともWACC(加重平均資本コスト)を超えることが絶対条件と言われれています。

過去5年間のROICは20前後と、投資効率は比較的高いです。

株価上昇率

FY2020(2020年1月から2020年12月末)の株価上昇率は+70.0%と、世界株式を投資対象とするVT ETF(+14.3%)を大きく上回りました。

過去5年間(2016年1月から2020年12月末)の株価上昇率は年率+16.7%と、VT ETF(年率+9.9%)を大きく上回りました。

競合他社(取引所およびデータ提供会社)の株価上昇率(HKExは香港ドル建て、JPXは日本円建て、その他はドル建て)は、以下の通りです。

香港取引所(HKEx)の株価上昇率は、2020年の1年間で+70%と、12社平均(+29%)を上回り、12社中第2位となりました。

2018年1月から2020年12月末の3年間では+79%と、11社平均(+86%)を下回り、11社中第5位となりました。

過去10年間(2011年4月から2021年3月)のドローダウン(最高値からの下落率、月末株価)の推移は、以下の通りです。

ドローダウンは非常に大きいです。

(参考)株価の推移(月末株価)

DCF法による目標株価

DCF(Discounted Cash Flow)法とは、将来に渡って生み出すキャッシュフローを割り引く(WACC、加重平均資本コスト)ことで理論価格を算出します。

以下のシナリオに基づき、フリーキャッシュフローの現在価値とネット有利子負債を合計して株主価値を算出し、株主価値を発行済株式総数で割ることで、1株あたりの株価を算出します。

なお、WACCを6.9%、金利が1%上昇した場合は7.8%と推計しました。

以下のグラフは、各シナリオのフローキャッシュフロー(億香港ドル)の推移となります。

① メインシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目〜2年目+10%、3年目〜10年目+7%。11年目以降の永続成長率は0%。

② アップサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目〜10年目+12%。11年目以降の永続成長率は0%。

③ ダウンサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目〜10年目+0%。11年目以降の永続成長率は0%。

メインシナリオの目標株価は518香港ドルとなります。

香港取引所(Hong Kong Exchanges and Clearing Limited、0388.HK)への投資について

FY2020の売上高は192億ドルと、前年度比+17.7%、過去5年間で年率+7.5%となりました。

過去5年間の営業利益率は6割超と高水準です。

営業キャッシュフローは、過去3間で年率+25.8%と大きく拡大し、FY2020の営業キャッシュフローマージンは77%です。

DCF法による目標株価は518香港ドルのため、2021年4月末時点の株価465香港ドルより高い水準です。

なお、メインシナリオは、10年後の売上高が2.1倍(年率+8%)、FY2020のフリーキャッシュフローマージンである70%が10年間継続することを想定したので、売上高またはフリーキャッシュフローマージンがさらに上向けばより高い株価上昇が期待できます。

IPO調達額は世界で第2位と力強く、米国上場リスクを勘案して香港上場へシフトしていくと想定されます。

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