Cboeグローバル・マーケッツ(CBOE)決算分析と目標株価 シカゴオプション取引所を運営 恐怖指数VIXを開発

CBOE取引所およびデータ提供会社

過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とCboeグローバル・マーケッツへの投資についてコメントします。

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会社概要

Cboeグローバル・マーケッツ(Cboe Global Markets, Inc.、CBOE)

ホームページ(SECファイル):リンク先

国:アメリカ

セクター:金融

産業グループ:各種金融

サブ産業グループ:取引所およびデータ提供会社

株式時価総額:112億ドル(2021年4月末)

Cboeグローバル・マーケッツは、アメリカに本拠を置く、シカゴ・オプション取引所(CBOE)を運営する企業です。

恐怖指数と呼ばれるVIX(Cboe Volatility Index)を開発し、注目を集めています。

 

売上高(セグメント別)の推移

FY2020(2020年1-12月期)の売上高は34億ドルと、前年度比+37.3%、過去5年間で年率+38.9%となりました。

 

セグメント別の純収益は、以下の通りです。

・オプション:6.5億ドル、前年度比+15%

・北米株:3.3億ドル、前年度比+9%

・先物:1.1億ドル、前年度比▲19%

・欧州株:1.1億ドル、前年度比+31%

・為替:0.6億ドル、前年度比+9%

 

セグメント別の純収益構成比は、オプションが52%、北米株が26%を占めます。

 

利益(セグメント別)の推移

FY2020の営業利益は6.6億ドル(前年度比+23.3%)、営業利益率は19.3%と、前年度の21.5%から悪化しました。

 

セグメント別の利益率(営業利益/純収益)は、以下の通りです。

 

FY2020のEPSは4.27ドルと、前年度比+27.8%、過去5年間で年率+11.7%となりました。

 

キャッシュフローの推移

FY2020の営業キャッシュフローは15億ドルと、前年度比+131%、過去3年間で年率+43%となりました。

営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー/売上高)は42.6%と、前年度の25.4%から改善しました。

 

FY2020のフリーキャッシュフローは14億ドルと、前年度比+136%、過去3年間で年率+47%となりました。

フリーキャッシュフローマージン(フリーキャッシュフロー/売上高)は41.2%と、前年度の23.9%から改善しました。

 

株主還元(配当、自社株買い)の推移

自社株買いに積極的です。

 

(参考)過去5年間の株主還元利回り(株価は各会計年度末時点)

FY2020の益利回り(PERの逆数)は4.6%、フリーキャッシュフロー利回りは13.9%です。

FY2020の配当利回りは1.7%です。

 

(参考)過去5年間の配当性向、総還元性向

過去5年間の配当性向は、利益・キャッシュフローベースともに50%を下回りました。

 

(参考)過去5年間のDPS(1株当たり配当金)

FY2020のDPSは1.56ドルと、前年度比+16.4%、過去5年間で年率+12.1%となりました。

 

(参考)過去5年間の発行済株式数

発行済株式数は、過去5年間で年率+5.6%となりました。

 

ROICの推移

ROIC(Return on Invested Capital、投下資本利益率)とは、企業が事業活動のために投じた資金を使ってどれだけ利益を生み出したか(投資効率)を測る指標となります。

正確な計算方法はないため、ここでは、税引後営業利益/投下資本(=運転資本+有形固定資産(リース含む)+無形固定資産+在庫+のれん)として計算しています。

少なくともWACC(加重平均資本コスト)を超えることが絶対条件と言われれています。

過去4年間のROICは1桁と、投資効率は低いです。

 

純収益およびEPSの実績値とコンセンサスの推移

以下のグラフは、純収益のコンセンサスおよび実績値の推移となります。

過去8四半期中、6勝、2引き分けです。

 

以下のグラフは、EPSのコンセンサスおよび実績値の推移となります。

過去8四半期中、4勝、4敗です。

 

以下のグラフは、非GAAP EPSのコンセンサスおよび実績値の推移となります。

過去8四半期中、7勝、1敗です。

 

株価上昇率

FY2020(2020年1月から2020年12月末)の株価上昇率は▲22.4%と、S&P500(+16.3%)を大きく下回りました。

過去5年間(2016年1月から2020年12月末)の株価上昇率は年率+7.5%と、S&P500(年率+12.9%)を下回りました。

 

競合他社(取引所およびデータ提供会社)の株価上昇率(HKExは香港ドル建て、JPXは日本円建て、その他はドル建て)は、以下の通りです。

Cboe(CBOE)の株価上昇率は、2020年の1年間で▲22%と、12社平均(+29%)を下回り、12社中第12位となりました。

2018年1月から2020年12月末の3年間では▲25%と、11社平均(+86%)を下回り、11社中第11位となりました。

 

過去10年間(2011年5月から2021年4月)のドローダウン(最高値からの下落率、月末株価)の推移は、以下の通りです。

2018年1月末の最高値から最大40%程度のドローダウンが発生し、まだ全回復には程遠いです。

 

(参考)株価の推移(月末株価)

通常の目盛り表示の場合、近年の株価のブレ幅(上昇もしくは下落)が過去より非常に大きいと錯覚するため、対数目盛りで表示しています。

 

DCF法による目標株価

DCF(Discounted Cash Flow)法とは、将来に渡って生み出すキャッシュフローを割り引く(WACC、加重平均資本コスト)ことで理論価格を算出します。

以下のシナリオに基づき、フリーキャッシュフローの現在価値とネット有利子負債を合計して株主価値を算出し、株主価値を発行済株式総数で割ることで、1株あたりの株価を算出します。

なお、WACCを6.9%、金利が1%上昇した場合は7.8%と推計しました。

以下のグラフは、各シナリオのフローキャッシュフロー(億ドル)の推移となります。

① メインシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目〜4年目▲5%、5年目〜〜10年目+0%。11年目以降の永続成長率は0%。

② アップサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目〜10年目+0%。11年目以降の永続成長率は0%。

③ ダウンサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目〜10年目▲5%。11年目以降の永続成長率は0%。

メインシナリオの目標株価は159ドルとなります。

 

Cboeグローバル・マーケッツ(Cboe Global Markets, Inc.、CBOE)への投資について

FY2020の売上高は34億ドルと、前年度比+37.3%、過去5年間で年率+38.9%となりました。

FY2020の営業キャッシュフローは15億ドルと、前年度比+131%、過去5年間で年率+42.8%となりました。

DCF法による目標株価は159ドルのため、2021年4月末時点の株価99ドルより高い水準です。

なお、メインシナリオは、10年後の売上高が1.5倍(年率+4%)、10年後に向けてフリーキャッシュフローマージンが25%まで低下することを想定したので、売上高またはフリーキャッシュフローマージンがさらに上向けばより高い株価上昇が期待できます。

近年株価は不調であり、割安感が強いです。

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