マクドナルド(MCD)決算分析と目標株価 フランチャイズからのロイヤリティ収入で高利益率

マクドナルドレストラン

過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とマクドナルドへの投資についてコメントします。

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会社概要

マクドナルド(McDonald’s、MCD)

ホームページ(SECファイル):リンク先

国:アメリカ

セクター:一般消費財・サービス

産業グループ:消費者サービス

サブ産業グループ:レストラン

株式時価総額:1,724億ドル(世界ランキング第72位、2021年6月末)

マクドナルドは、アメリカに本拠を置く、世界最大のファストフードチェーン企業です。

マクドナルドが受け取るロイヤリティ・レント収入等の比率は10%超と高く、競合他社と異なり、レント(賃貸料)を受け取っている点が特徴的です。

(参考)競合他社(レストラン)の株式時価総額(2021年6月末)

 株式時価総額
(億ドル)
マクドナルド(MCD)1,724
スターバックス(SBUX)1,317
コンパス・グループ(CPG.L)384
チポトレ・メキシカン・グリル(CMG)436
ヤム・ブランズ(YUM)343
ハイディーラオ・インターナショナルHD/海底撈国際(6862.HK)286
ヤム・チャイナ/百勝中国(YUMC)279
レストラン・ブランズ・インターナショナル(QSR)199
ダーデン・レストランツ(DRI)191
ドミノ・ピザ(DPZ)181

売上高(セグメント別、地域別)の推移

FY2020(2020年1-12月期)の売上高は192億ドルと、前年度比▲8.9%、過去5年間で年率▲5.4%となりました。

 

2021Q3(2021年7−9月期)の売上高は62.0億ドル(前年同期比+14.5%)と、コンセンサス(60.4億ドル)を上回りました。

 

世界全体の既存店売上高は前年同期比+12.7%となりました。

 

セグメント別(その他除く)の売上高は、以下の通りです。

・直営:26億ドル、前年同期比+14%

・フランチャイズ:35億ドル、前年同期比+15%

 

FY2020のフランチャイズ店売上高は852億ドル、ロイヤリティ、レント収入等の比率は12.6%となりました。

 

地域別の売上高構成比は、アメリカが41%を占めます。

 

利益の推移

FY2020の営業利益は73億ドルと、前年度比▲19.3%、過去5年間で年率+0.5%となりました。

営業利益率は38.1%と、前年度の430%から悪化しました。

 

2021Q3の営業利益は30億ドル(前年同期比+18.2%)となりました。

 

セグメント別の粗利益率は、以下の通りです。

 

FY2020のEPSは6.31ドルと、前年度比▲19.9%、過去5年間で年率+5.6%となりました。

 

2021Q3のEPSは2.86ドルと、コンセンサス(2.48ドル)を上回りました。

非GAAP EPSは2.76ドル(前年同期比+24.3%)と、コンセンサス(2.47ドル)を上回りました。

 

キャッシュフローの推移

FY2020の営業キャッシュフローは63億ドルと、前年度比▲22.9%、過去5年間で年率▲0.9%となりました。

営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー/売上高)は32.6%と、前年度の38.5%から悪化しました。

 

FY2020のフリーキャッシュフローは46億ドルと、前年度比▲19.3%、過去5年間で年率▲0.4%となりました。

フリーキャッシュフローマージン(フリーキャッシュフロー/売上高)は24.1%と、前年度の27.2%から悪化しました。

 

株主還元(配当、自社株買い)の推移

FY2020の自社株買いは9億ドルに減少しました。

 

(参考)過去5年間の株主還元利回り(株価は各会計年度末時点)

平時の益利回り(PERの逆数)は4%前後、フリーキャッシュフロー利回りは3〜4%です。

過去4年間の配当利回りは2%代前半です。

 

(参考)過去5年間の配当性向、総還元性向

過去5年間の配当性向は、利益・キャッシュフローベースともに、100%を下回りました。

 

(参考)過去5年間のDPS(1株当たり配当金)

FY2020のDPSは5.04ドルと、前年度比+6.6%、過去5年間では年率+7.9%となりました。

 

(参考)過去5年間の発行済株式数

発行済株式数は、過去5年間で年率▲4.5%となりました。

 

ROICの推移

ROIC(Return on Invested Capital、投下資本利益率)とは、企業が事業活動のために投じた資金を使ってどれだけ利益を生み出したか(投資効率)を測る指標となります。

正確な計算方法はないため、ここでは、税引後営業利益/投下資本(=運転資本+有形固定資産(リース含む)+無形固定資産+在庫+のれん)として計算しています。

少なくともWACC(加重平均資本コスト)を超えることが絶対条件と言われています。

過去5年間のROICは10%超です。

 

売上高およびEPSの実績値とコンセンサスの推移

売上高の実績値(コンセンサス比)は、過去9四半期中、7勝、2敗です。

EPSの実績値(コンセンサス比)は、過去9四半期中、6勝、3敗です。

非GAAP EPSの実績値(コンセンサス比)は、過去9四半期中、4勝、4敗、1引き分けです。

 
売上高(ドル)非GAAP EPS(ドル)非GAAP EPS(ドル)
実績値コンセンサス勝敗実績値コンセンサス勝敗実績値コンセンサス勝敗
2019Q354.354.7×2.112.22×2.112.21×
2019Q453.553.02.081.971.971.97
2020Q147.146.61.471.56×1.471.55×
2020Q237.637.30.650.72×0.660.76×
2020Q354.253.72.351.912.221.90
2020Q453.153.5×1.841.731.701.77×
2021Q151.250.42.051.811.921.82
2021Q258.955.72.952.112.372.12
2021Q362.060.42.862.482.762.47

 

株価上昇率

FY2020の株価上昇率は+8.6%と、S&P500(+16.3%)を下回りました。

過去5年間(2016年1月から2020年12月末)の株価上昇率は年率+12.7%と、S&P500(年率+12.9%)を下回りました。

 

2021Q3の株価上昇率は+4.4%と、S&P500(+0.2%)を上回りました。

 

競合他社(レストラン)の株価上昇率(ドル建て)は、以下の通りです。

マクドナルド(MCD)の株価上昇率は、2020年の1年間で+9%と、10社平均(+24%)を下回り、10社中第8位となりました。

2018年1月から2020年12月の3年間では+25%と、10社平均(+84%)を下回り、10社中第8位となりました。

 

過去10年間(2011年11月から2021年10月)のドローダウン(最高値からの下落率、月末株価)の推移は、以下の通りです。

最高値から10%程度下落すると反発する傾向にあるため、その時が狙い目です。

 

スターバックス(SBUX)と比較すると、ドローダウンは小さい傾向があります。

 

(参考)株価の推移(月末株価)

通常の目盛り表示の場合、近年の株価のブレ幅(上昇もしくは下落)が過去より非常に大きいと錯覚するため、対数目盛りで表示しています。

 

DCF法による目標株価

DCF(Discounted Cash Flow)法とは、将来に渡って生み出すキャッシュフローを割り引く(WACC、加重平均資本コスト)ことで理論価格を算出します。

以下のシナリオに基づき、フリーキャッシュフローの現在価値とネット有利子負債を合計して株主価値を算出し、株主価値を発行済株式総数で割ることで、1株あたりの株価を算出します。

なお、WACCを4.2%と推計しました。

以下のグラフは、各シナリオのフローキャッシュフロー(億ドル)の推移となります。

① メインシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+20%、2年目〜6年目+10%、7年目〜10年目+5%。11年目以降の永続成長率は0%

② アップサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+20%、2年目〜10年目+10%。11年目以降の永続成長率は0%

③ ダウンサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+20%、2年目〜10年目+5%。11年目以降の永続成長率は0%

メインシナリオの目標株価は248ドルとなります。

・メインシナリオ:248ドル

・アップサイドシナリオ:298ドル

・ダウンサイドシナリオ:188ドル

マクドナルド(McDonald’s、MCD)株への投資について

2021Q3(2021年7−9月期)の売上高は62.0億ドル(コンセンサス60.4億ドル)、非GAAP EPSは2.76ドル(コンセンサス2.47ドル)と、コンセンサスを上回る実績となりました。

DCF法による目標株価は248ドルのため、2021年10月末時点の株価246ドルとほぼ同水準です。

なお、メインシナリオは、10年後の売上高が2.3倍(年率+9%)、フリーキャッシュフローマージンが横ばいで推移することを想定したので、売上高またはフリーキャッシュフローマージンがさらに上向けばより高い株価上昇が期待できます。

自社株買いに積極的なので、発行済株式数の減少による株価上昇も可能です。

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