ウェイスト・マネジメント(WM)決算分析と目標株価 北米でごみ回収や埋立地管理等の廃棄物処理サービスのトップ企業

ウェイストマネジメント商業・専門サービス

過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とウェイスト・マネジメントへの投資についてコメントします。

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会社概要

ウェイスト・マネジメント(Waste Management、WM)

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国:アメリカ

セクター:資本財・サービス

産業グループ:商業・専門サービス

サブ産業グループ:環境関連・ファシリティサービス

浮動株調整後株式時価総額:470億ドル(2020年12月末、MSCI)

ウェイスト・マネジメントは、アメリカに本拠を置く、北米で廃棄物管理環境サービスを提供する最大手の企業です。

資本財・サービスセクターの商業・専門サービスで第2位の浮動株調整後株式時価総額で、環境関連・ファシリティサービスに占めるウェイスト・マネジメントの浮動株調整後株式時価総額比率は39%です。

売上高(セグメント別)の推移

FY2020(2020年1-12月期)の売上高は152億ドルと、前年度比▲1.5%、過去5年間で年率+3.3%となりました。

 

セグメント別の売上高は、以下の通りです。

・商業向けごみ回収:41億ドル、前年度比▲3%

・住宅向けごみ回収:27億ドル、前年度比+4%

・産業向けごみ回収:28億ドル、前年度比▲5%

・その他向けごみ回収:5億ドル、前年度比▲4%

・埋立地管理:37億ドル、前年度比▲5%

・中間処理施設運営:19億ドル、前年度比+2%

・リサイクル:11億ドル、前年度比+8%

・その他:18億ドル、前年度比+1%

 

セグメント別の売上高構成比は、ごみ回収が54%、埋立地管理が20%、中間処理施設運営が10%を占めます。

 

利益の推移

FY2020の営業利益は24億ドルと、前年度比▲10.1%、過去5年間で年率+3.5%となりました。

営業利益率は16.0%と、前年度の17.5%から悪化しました。

 

FY2020のEPSは3.52ドルと、前年度比▲10.0%、過去5年間で年率+16.4%となりました。

 

キャッシュフローの推移

FY2020の営業キャッシュフローは34億ドルと、前年度比▲12.2%、過去5年間で年率+6.4%となりました。

営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー/売上高)は22.4%と、前年度の25.1%から悪化しました。

 

FY2020のフリーキャッシュフローは18億ドルと、前年度比▲13.9%、過去5年間で年率+7.0%となりました。

フリーキャッシュフローマージン(フリーキャッシュフロー/売上高)は11.6%と、前年度の13.3%から悪化しました。

 

株主還元(配当、自社株買い)の推移

自社株買いに積極的です。

 

(参考)過去5年間の株主還元利回り(株価は各会計年度末時点)

FY2020の益利回り(PERの逆数)は3.0%、フリーキャッシュフロー利回りは3.5%です。

FY2020の配当利回りは1.8%です。

 

(参考)過去5年間の配当性向、総還元性向

過去5年間の配当性向は、利益・キャッシュフローベースともに、40〜60%程度です。

 

(参考)過去5年間のDPS(1株当たり配当金)

FY2020のDPSは2.05ドルと、前年度比+6.3%、過去5年間で年率+7.2%となりました。

FY2021のDPSは2.30ドル(前年度比+5.5%、18年連続増配)の予定です。

 

(参考)過去5年間の発行済株式数

発行済株式数は、過去5年間で年率▲1.4%となりました。

 

ROICの推移

ROIC(Return on Invested Capital、投下資本利益率)とは、企業が事業活動のために投じた資金を使ってどれだけ利益を生み出したか(投資効率)を測る指標となります。

正確な計算方法はないため、ここでは、税引後営業利益/投下資本(=運転資本+有形固定資産(リース含む)+無形固定資産+在庫+のれん)として計算しています。

少なくともWACC(加重平均資本コスト)を超えることが絶対条件と言われています。

ROICは、年々低下傾向にあります。

 

売上高およびEPSの実績値とコンセンサスの推移

以下のグラフは、売上高のコンセンサスおよび実績値の推移となります。

過去8四半期中、5勝、2敗、1引き分けです。

 

以下のグラフは、EPSのコンセンサスおよび実績値の推移となります。

過去8四半期中、3勝、4敗、1引き分けです。

 

以下のグラフは、非GAAP EPSのコンセンサスおよび実績値の推移となります。

過去8四半期中、7勝、1引き分けです。

 

株価上昇率

FY2020(2020年1月から2020年12月末)の株価上昇率は+3.5%と、S&P500(+16.3%)を下回りました。

過去5年間(2016年1月から2020年12月末)の株価上昇率は年率+17.2%と、S&P500(年率+12.9%)を上回りました。

 

競合他社(環境関連・ファシリティサービス)の株価上昇率(2007.HKは香港ドル建て、RTO.Lはポンド建て、その他はUSドル建て)は、以下の通りです。

ウェイスト・マネジメント(WM)の株価上昇率は、2020年の1年間で+3%と、6社平均(+16%)を下回り、6社中第5位となりました。

2018年1月から2020年12月の3年間では+37%と、6社平均(+42%)を下回り、6社中第5位となりました。

 

過去10年間(2011年6月から2021年5月)のドローダウン(最高値からの下落率、月末株価)の推移は、以下の通りです。

景気感応度が高い資本財・サービスセクターとしては、ドローダウンは相対的に小さいです。

 

(参考)株価の推移(月末株価)

資本財・サービスセクターとしては珍しく、比較的綺麗な上昇トレンドです。

 

DCF法による目標株価

DCF(Discounted Cash Flow)法とは、将来に渡って生み出すキャッシュフローを割り引く(WACC、加重平均資本コスト)ことで理論価格を算出します。

以下のシナリオに基づき、フリーキャッシュフローの現在価値とネット有利子負債を合計して株主価値を算出し、株主価値を発行済株式総数で割ることで、1株あたりの株価を算出します。

なお、WACCを4.7%、金利が1%上昇した場合は5.5%と推計しました。

以下のグラフは、各シナリオのフローキャッシュフロー(億ドル)の推移となります。

① メインシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+15%、2年目〜4年目+10%、5年目〜10年目+6%。11年目以降の永続成長率は0%。

② アップサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+15%、2年目〜10年目+10%。11年目以降の永続成長率は0%。

③ ダウンサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+15%、2年目〜10年目+5%。11年目以降の永続成長率は0%。

メインシナリオの目標株価は144ドルとなります。

 

ウェイスト・マネジメント(Waste Management、WM)への投資について

FY2020(2020年1−12月期)の売上高は152億ドル(前年度比▲1.5%)、EPSは3.52ドル(前年度比▲10.0%)と、減収減益となりました。

FY2021のガイダンスは、以下の通りです。

・売上高:+12.5〜13.0%

DCF法による目標株価は144ドルのため、2021年5月末時点の株価141ドルとほぼ同水準です。

なお、メインシナリオは、10年後の売上高が1.7倍(年率+5.5%)、10年後に向けてフリーキャッシュフローマージンが15%まで上昇することを想定したので、売上高またはフリーキャッシュフローマージンがさらに上向けばより高い株価上昇が期待できます。

景気変動の影響は受けるものの、ごみ回収等は需要があることや、参入障壁が高く競争が限定的であることから、業績は比較的安定しており、アメリカの景気拡大や人口増の恩恵も享受できます。

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