ロシュHD(ROG.SW)決算分析と目標株価 スイスに本拠を置く、世界最大級の医薬品メーカー がん治療薬に強み

ロシュ医薬品・バイオテクノロジー・ライフサイエンス

過去の業績の推移を解説し、目標株価の算出とロシュHDへの投資についてコメントします。

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会社概要

ロシュHD(Roche Holdings AG、ROG.SW)

ホームページ(IR):リンク先

国:スイス

セクター:ヘルスケア

産業グループ:医薬品・バイオテクノロジー・ライフサイエンス

サブ産業グループ:医薬品

株式時価総額:3,257億ドル(世界ランキング第27位、2021年6月末)

ロシュHDは、スイスに本拠を置く、世界最大級の医薬品メーカーです。

 

(参考)競合他社(医薬品)の株式時価総額(2021年6月末)

 株式時価総額
(億ドル)
ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)4,338
ロシュHD(ROG.SW)3,257
イーライリリー(LLY)2,201
ファイザー(PFE)2,192
ノバルティス(NVS)2,048
メルク&カンパニー(MRK)1,969
ノボ・ノルディスク(NVO)1,923
アストラゼネカ(AZN)1,573
ブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMY)1,492
サノフィ(SNY)1,317
グラクソ・スミスクライン(GSK)1,002
ゾエティス(ZTS)885
メルクKGaA(MRK.DE)811
中外製薬(4519.T)655
バイエル(BAYN.DE)599
武田薬品工業(4502.T)531
第一三共(4568.T)377
アステラス製薬(4503.T)322
エーザイ(4523.T)283

 

売上高の推移

FY2020(2020年1-12月期)の売上高は603億スイスフランと、前年度比▲5.3%、過去5年間で年率+3.7%となりました。

 

2021Q2(2021年4−6月期)の売上高は172億スイスフラン(前年同期比+12.9%)となりました。

 

セグメント別の売上高は、以下の通りです。

・製薬部門:124億ドル、前年同期比+4%

・診断部門:48億ドル、前年同期比+48%

セグメント別の売上高構成比は、製薬部門が72%、診断部門が28%を占めます。

 

製薬部門のサブセグメント別の売上高構成比は、がん等の治療薬が51%、免疫が18%、神経精神疾患が11%、その他が18%、特許等が3%が7%を占めます。

 

プロダクト別の売上高構成比は、アバスチン(がん治療薬)が11%、オクレリズマブ(多発性硬化症治療薬)が10%、パージェタ(乳がん治療薬)が9%、ハーセプチン(がん治療薬)が8%を占めます。

 

地域別の売上高構成比は、欧州が24%、北米が48%、アジアが22%、その他が6%を占めます。

 

利益の推移

FY2020の営業利益は185億スイスフランと、前年度比+5.7%、過去5年間で年率+6.1%となりました。

営業利益率は30.7%と、前年度の27.5%から改善しました。

 

FY2020の調整後EPSは19.16スイスフランと、前年度比▲5.0%、過去5年間で年率+7.3%となりました。

 

キャッシュフローの推移

FY2020の営業キャッシュフローは186億スイスフランと、前年度比▲17.1%、過去5年間で年率+4.0%となりました。

営業キャッシュフローマージン(営業キャッシュフロー/売上高)は30.8%と、前年度の35.1%から悪化しました。

 

FY2020のフリーキャッシュフローは119億スイスフランと、前年度比▲32.1%、過去5年間で年率+1.3%となりました。

フリーキャッシュフローマージン(フリーキャッシュフロー/売上高)は19.7%と、前年度の27.4%から悪化しました。

 

株主還元(配当、自社株買い)の推移

自社株買いの実施はなしです。

 

(参考)過去5年間の株主還元利回り(株価は各会計年度末時点)

FY2020の調整後益利回り(PERの逆数)は6.2%、フリーキャッシュフロー利回りは4.4%です。

FY2020の配当利回りは2.9%です。

 

(参考)過去5年間の配当性向、総還元性向

過去5年間の配当性向(調整後利益)は、50%程度です。

 

(参考)過去5年間のDPS(1株当たり配当金)

FY2020のDPSは9.10スイスフランと、前年度比+1.1%、過去5年間で年率+2.4%となりました。

 

(参考)過去5年間の発行済株式数

発行済株式数は、過去5年間で年率+0.1%となりました。

 

株価上昇率

FY2020の株価上昇率は▲1.6%と、世界株式を投資対象とするVT(+14.3%)を下回りました。

過去5年間(2016年1月から2020年12月末)の株価上昇率は年率+2.3%と、VT(年率+9.9%)を下回りました。

 

2021Q2の株価上昇率は+14.1%と、VT(+6.5%)を上回りました。

 

競合他社(医薬品)の株価上昇率(ROG.SWはスイスフラン、MRK.DE、BAYN.DEはユーロ建て、4519.T、4502.T、4568.T、4503.T、4523.Tは日本円建て、その他はUSドル建て)は、以下の通りです。

ロシュHD(ROG.SW)の株価上昇率は、2020年の1年間で▲2%と、19社平均(+6%)を下回り、19社中第11位となりました。

2018年1月から2020年12月の3年間では+25%と、19社平均(+46%)を下回り、19社中第10位となりました。

 

過去10年間(2011年9月から2021年8月)のドローダウン(最高値からの下落率、月末株価)の推移は、以下の通りです。

 

(参考)株価の推移(月末株価)

通常の目盛り表示の場合、近年の株価のブレ幅(上昇もしくは下落)が過去より非常に大きいと錯覚するため、対数目盛りで表示しています。

 

DCF法による目標株価

DCF(Discounted Cash Flow)法とは、将来に渡って生み出すキャッシュフローを割り引く(WACC、加重平均資本コスト)ことで理論価格を算出します。

以下のシナリオに基づき、フリーキャッシュフローの現在価値とネット有利子負債を合計して株主価値を算出し、株主価値を発行済株式総数で割ることで、1株あたりの株価を算出します。

なお、WACCを5.0%と推計しました。

以下のグラフは、各シナリオのフローキャッシュフロー(億スイスフラン)の推移となります。

① メインシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+25%、2年目〜10年目+2%。11年目以降の永続成長率は0%。

② アップサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+25%、2年目〜5年目+5%、6年目〜10年目+2%。11年目以降の永続成長率は0%。

③ ダウンサイドシナリオ

 フリーキャッシュフローの成長率:1年目+5%、2年目〜10年目+2%。11年目以降の永続成長率は0%。

メインシナリオの目標株価は397スイスフランとなります。

・メインシナリオ:397スイスフラン

・アップサイドシナリオ:441スイスフラン

・ダウンサイドシナリオ:333スイスフラン

ロシュHD(Roche Holdings AG、ROG.SW)への投資について

2021Q2(2021年4−6月期)の売上高は172億スイスフラン(前年同期比+12.9%)となりました。

DCF法による目標株価は397スイスフランのため、2021年8月末時点の株価366スイスフランより高い水準です。

なお、メインシナリオは、10年後の売上高が1.3倍(年率+2%)、フリーキャッシュフローマージンが23%へ上昇後横ばいで推移することを想定したので、売上高またはフリーキャッシュフローマージンがさらに上向けばより高い株価上昇が期待できます。

コロナ検査製品で業績拡大中です。

安定した業績ですが、売上高の成長率が乏しいため、長期的にみて株式市場全体を上回る株価上昇率は厳しそうです。

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